～あらすじ～
　世界初の同所心移植に成功した後、大きな疑惑を残して去った世紀の天才、セシーリア・フライト。彼女の学友であり、一時の同居人でもあったジューリアは、彼女と共に過ごした青春を回想する。出会ったのは放課後の図書室だった。ジューリアの従兄は世間を賑わせた銃乱射事件の犯人で、彼女に話しかけるものは少なかった。「十人もの人間を無差別に殺した人間の従妹がどんな奴なのか見てみたい」そんな好奇心を隠すこともせず、セシーリアはジューリアに近づき、鉄道事故で死んだ男の子の死体を探すため、森へ行こうと誘う。ジューリアは渋々これに従い、そこで彼女が得た経験は、彼女の一生を大きく変えてしまうこととなる。啓蒙されたジューリアは大学へ向かう。そこでも彼女は、従兄の罪を滅ぼす道を探すように、神学に努めていた。一方で、あの日の森の中での官能的な出来事の記憶に、ジューリアは囚われていた。そんな彼女の前に、セシーリアは再び現れる。セシーリアは非公式に、当時異種間でしか成功例のなかった、心移植を同移植間で成功させたという――。

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表紙イラスト：のなめ様